OpenAIによるChatGPTの発売以来、多くの企業が独自のAIモデルを立ち上げ、ChatGPTに対抗しようと盛り上がりを見せています。
そして、3月14日にはAnthropicがAIチャットボット「Claude」を発売しました。
ClaudeはChatGPTと同じくチャット型のAIであるため、多くの部分は似ている機能が備わっていますが、一部の分野でChatGPTを圧倒しているようです。
今回はClaudeの詳細とChatGPTとの違いについて紹介していきます。
claudeを開発している「Anthropic」とOpenAIの関係性
Anthropicは元OpenAIの研究者によって設立された、AIのスタートアップ企業です。
OpenAIはMicrosoftから出資されていることに対し、AnthropicはGoogleによって支援されており約10%の出資を受けています。
OpenAIの研究員であったダリオ・アモディがOpenAIの方向性と対立してしまい、2021年に複数人を引き連れて独立したという歴史があります。
そのためClaudeは、真っ向からChatGPTに立ち向かうプロジェクトであることは言うまでもありません。
ClaudeとChatGPTの比較の概要
まずはClaudeとChatGPTの違いを幾つかの項目で比較してみましょう。
以下の表をご覧ください。
項目 | ChatGPT | Claude |
---|---|---|
親会社 | OpenAI | Anthropic |
支援者 | Microsoft | |
発売日 | 2022年11月30日 | 2023年3月14日 |
ユーザ数 | 1億人以上 | 一般公開なし |
本社 | サンフランシスコ | アステルダム |
創設者 | サム・アルトマン(CEO) | ダニエラ、ダリオ・アモディ |
使用エンジン | GPT-3.5、GPT-4 | 憲法に基づくAI |
画像検知 | できる | できない |
計算 | Claudeより優れている | 問題なし |
論理的な試行 | Claudeより優れている | まだ不十分 |
処理できる文字量 | 3万2000トークン(GPT-4) | 10万トークン |
フィクションの分析 | まだ不十分 | まだ不十分 |
文章力 | クリエイティブ | ChatGPTより自然 |
コード生成 | Claudeより優れている | 複雑なアルゴリズムを理解できない |
ユーモア | まだ不十分 | ChatGPTより優れている |
テキストの要約 | 問題なし | ChatGPTより優れている |
自己存在の理解 | なし | あり |
ClaudeとChatGPTの明確な違い
上述の比較表を確認するとClaudeとChatGPTは似ていますが、幾つかの点で性能が異なることがわかります。
それではClaudeとChatGPTの明確な違いについて確認していきましょう。
トークン(処理できる文字量)が大幅に異なる
トークンとはAIが文字を認識する際の単位を指しており、この数字が長文の処理力に直結します。
ChatGPTが使用しているエンジンであるGPT-4では約3万2000トークンでの入力が可能ですが、Claudeでは大幅に上回る10万トークンまでの入力が可能です。
文字数にすると約7万5000文字の英文に相当するほどのスケールで、これまでChatGPTでは書籍や論文などの大規模なテキストの扱いが苦手でしたが、Claudeはこれらを得意とするほどの性能を持ち合わせています。
人間は約5時間で10万トークンを読むことができますが、Claudeであれば1分以内に処理することが可能です。
この扱えるトークン量の膨大さがClaudeの性能の高さを最も示す指標になります。
Claudeの方がより自然な返答を生成できる
QuoraはClaudeを搭載したAIチャットアプリ「Poe」を提供しており、ユーザーによるとChatGPTに比べてより自然な回答の生成に優れていると評価をしています。
更にClaudeはダジャレや親父ギャグなどの理解や生成も得意で、ChatGPTに比べてユーモアであり人間らしさに優れています。
勿論ChatGPTのように、口調や性格などをニーズに合わせて調節することが可能です。
Claudeは無害で正直である
Claudeは「憲法AI」と呼ばれる基本的なルールに基づいて、出来る限り有害な出力の生成を避け、常に安全な回答を得られるようになります。
憲法AIのルールの詳細は公開されていませんが、10個程度の独自ルールによってAIの出力内容を制御しており、常に安全に利用することができます。
そのため、論理的な思考が必要である教育、医療、金融などの分野で非常に役に立ちます。
Cluadeの活用方法
Claudeの強みは多くありますが、なんといっても膨大な量のテキストの扱いが得意であることです。
そのため、論文や法律などの要約や分析などが活用例として挙げられます。
例えば以下のようなユースケースは如何でしょうか。
- 経済白書や政策文書の解析とその要点のまとめ
- 教科書や講義ノートの内容の抽出と簡易的なレビュー作成
- 科学的研究結果の分析とその重要な発見の概要の作成
- 病院やクリニックの医療レポートからの重要な情報の抽出
- 裁判所の判例文からの法的な意味合いの抽出
- 大量の製品レビューからのユーザーの意見や感情の分析
またClaudeの公式ツイッターにて、とある技術について記載されているPDFについて回答を生成させるデモ動画が公開されています。
Introducing 100K Context Windows! We’ve expanded Claude’s context window to 100,000 tokens of text, corresponding to around 75K words. Submit hundreds of pages of materials for Claude to digest and analyze. Conversations with Claude can go on for hours or days. pic.twitter.com/4WLEp7ou7U
— Anthropic (@AnthropicAI) May 11, 2023
Claudeを使うには?
Claudeは現在ベータテスト中で、利用するにはこちらからリクエストを送る必要があります。
この手順が面倒な方は、既にClaudeを搭載しているサービスを利用することをおすすめします。
現在Claudeを使用できるサービスは以下の通りです。
- DuckDuckGoがリリースしている「DuckAssist」
- Quoraが公開しているチャットアプリ「Poe」
- クラウドメモ帳サービスの「Notion AI」
一番おすすめできる方法はQuoraの「Poe」です。
現在Claudeでは軽量に動作をする「Claude Instant」と、最先端で高性能な「Claude」の2つのモデルが公開されており、Poeではこの両方を使用することが可能です。
まとめ
今回はAnthropicが公開したAIチャットボット「Claude」について紹介しました。
ClaudeはChatGPTに比べて膨大な量のテキストを扱うことを得意としており、そのスケールは10万トークン(英字で約7万5000文字)です。
ChatGPTに比べていくつかの点で性能を圧倒しており、得意分野に合わせて使い分けていくと良いでしょう。
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